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森 智勝(もり ともかつ) <プロフィール> 全国学習塾援護会 主宰、塾生獲得実践会 代表 ・26歳で学習塾設立、7教室を経営する。 ・平成14年 塾専門のマーケティング勉強会「塾生獲得実践会」設立 ・平成18年 「全国学習塾援護会」設立 ・現在、全国各地で塾経営者を対象としたセミナーの講演、スタッフ研修に奔走。 全国私塾情報センター主催の「春季大都市縦断セミナー」「地方塾セミナー」に講師として参加。 机上の空論ではない具体的な内容と、参加者にプラスのエネルギーを生じさせる講演には定評がある。今、最も支持されている塾経営アドバイザーの一人。 |
「面倒見の良さは、授業外にある」
このメールセミナーを通して私が主張していることです。
いくら丁寧に面倒見良く授業をしていても、それは当たり前と捉えられます。
その周辺部に、
どれだけ追加の、
「面倒見の良さ」
をちりばめられるかで印象は変わります。
以前、女房殿と谷村新司さんのコンサートに行ったことがあります。
同じツアーの初日と最終日の2回。
同じツアーですから構成は一緒です。
アンコールも終わり、1階席の、
「おっかけファン」
は、ぞろぞろと出口に向かいます。
しかし2階席・3階席のファンはまだ、
再アンコールを求めて手拍子を辞めません。
どうなるか…と見守っていると、何と谷村さんが再びステージに現れたのです。大歓声の中、もちろん谷村さんは歌いません。
拍手を続けた2階席・3階席に向けて同じように拍手をし、
お辞儀をしてステージを去りました。
その間、わずか1分のことです。
私は、
「谷村さんは凄いなあ」
と感心しました。
2時間以上も一人で歌い続けた後は、疲労困憊のはずです。
それでも彼はステージに出てきた。
その1分の苦役?が、確実にファンを増やしているのでしょう。
彼が、正規のコンサート中、熱心に振る舞うのは当たり前です。
観客の想定を超えたところに感動が生まれます。
これも、私が実際に経験したことですが、
某ホテルに泊まり、チェックアウトをした時のことです。
全ての清算が終わり、荷物を持ってさあ出掛けようとした瞬間、
そのフロントマンが声を掛けてくれました。
「森様、何か私どもでお手伝いできることはありませんか?」
私は、この一言に感動しました。
チェックアウトした客に対しての心遣い。
なかなか言えることではありません。
仕事柄、多くのホテルを利用しますが、
そんな一言を掛けてもらったことはありません。
私は瞬時に、そのホテルのファンになりました。
たった1分、たった一言です。
しかし、それが大きな効果を発揮することがあります。
「面倒見の良さ」
も、そうした(客にとって)想定外の振る舞いの中に存在します。
これでいい、これ以上無理だと思った時に、もうひと押しする。
それが相手を感動させ、
「面倒見の良い塾」
という評判を作っていきます。
あなたの塾は、もうひと押しをしていますか?
さて、この時期は入塾面談が続きます。
ここでも、相手(生徒・保護者)の想定を上回らなければなりません。
もちろん、必要なことは説明し、セールスすることは重要です。
ただ、そこで終わったのでは感動を創出できませんし、
面倒見の良さをアピールすることもできません。
もともと塾に入ろうとしている生徒は、
勉強に対する悩みや問題を抱えています。
その問題の解決方法を求めて塾にやってきます。
面談の場で、
「ああ、この塾ならば、自分の(我が子の)問題を解決してくれる」
と思わせなければなりません。
もっと言えば、
「この塾なら…」
ではなく、
「この人なら…」
と思わせることです。
これはセールスの基本ですが、
「商品を売るな、自分を売れ」
です。
いかにカリキュラムの素晴らしさ、講師の優秀さを訴えても、
実際のことは授業を受けてみなければ分かりません。
しかし、面談をしている、
「あなた」
は、面談を通して、現実的な評価を既に受けているのです。
数十分の短い時間の中で、
「この人ならば…」
と思わせることが評判を作っていきます。
同じように塾を探している友人に、
「あの塾いいよ」「あの塾は面倒見がいいよ」
と声掛けしてくれます。
単に、入塾を決めてもらうだけではもったいない。
保護者と触れ合う貴重な機会です。
ここで、相手の想定を上回る面談をしてください。
繰り返しますが、
「面倒見の良さ」
を実感する鍵は、
授業内ではなく周辺部分に存在しているのです。
誤解のないように申し添えますが、
けっして授業を軽視していいというわけではありません。
授業は塾というビジネスにおいて商品そのものです。
商品力がなければ、周辺部分にどれだけ腐心しても効果はありません。
ただ、商品力はビジネスにおいて必要条件であり、
それだけで充分条件にはならないということです。
そう思い至れば、様々なことに意識が向きます。
電話対応、面談はもちろん、
掲示板の使い方、何気なく配布している各種案内、
ニュースレター、イベント、教育セミナー…
ありとあらゆる機会に、面倒見の良さを潜ませてください。
きっと、まだまだ工夫できることがあるはずです。
新年度、貴塾の大いなる躍進を期待しています。
塾生獲得実践会(全国学習塾援護会)
森 智勝