新着情報
森 智勝(もり ともかつ) <プロフィール> 全国学習塾援護会 主宰、塾生獲得実践会 代表 ・26歳で学習塾設立、7教室を経営する。 ・平成14年 塾専門のマーケティング勉強会「塾生獲得実践会」設立 ・平成18年 「全国学習塾援護会」設立 ・現在、全国各地で塾経営者を対象としたセミナーの講演、スタッフ研修に奔走。 全国私塾情報センター主催の「春季大都市縦断セミナー」「地方塾セミナー」に講師として参加。 机上の空論ではない具体的な内容と、参加者にプラスのエネルギーを生じさせる講演には定評がある。今、最も支持されている塾経営アドバイザーの一人。 |
今、モチベーションを上げる方法の集団塾編をお話しています。
「当塾は個別指導(自立学習指導)だから関係ない」
と思わずにお付き合いください。
シチュエーションは異なっても、その根幹にある要素は同じです。
必ず、他指導法の塾にもヒントになるはずです。
さて、授業中に質問を発し、その場で生徒に答えさせることは、
集団指導塾ならば必須です。
生徒とのコミュニケーションを図ると同時に、場を活性化させるアイテムとしても有効です。
ところが、このアイテムを上手に使えていない、
あるいは逆効果にしてしまっている塾を見掛けることがあります。
生徒に答えさせる場合、2つのシチュエーションに区別することができます。
指名制と挙手制です。
「…の場合、ここはどうなる? 山田君」
のように教師が指名する場合と、
「…はい、ここはどうなるか分かる人、挙手」
と回答者を募る場合です。
この二つの場面は似て非なるものです。
その違いを意識して質問を使い分けないと、
充分な効果は引き出せません。
指名制の場合、質問には1つの原則があります。
それは、指名した生徒が、
「絶対に答えられる質問でなければならない」
ということです。
なぜなら答えられなかった場合、その生徒は恥をかくことになるからです。
恥をかいた生徒が、
「ヤル気になること」
は絶対に有り得ません。
必ず答えられるという確信の元に指名することです。
(あるいは、誰も答えられないであろう質問にすべきです。
どちらにせよ、指名された生徒に恥ずかしいという感情を生じさせない配慮が必要です)
挙手制の場合は、
「答えられたら誇らしい質問」
をします。
答えた瞬間、クラスの仲間から羨望と尊敬の眼差しを受け、優越感を持てる質問です。
子供たちは大人以上にプライドが高いことを意識しなければなりません。
また、恥をかくことに過敏になっていると知らなければなりません。
大人はしたり顔で、
「知らないことは恥ずかしいことではない。
知ろうとしないことの方が恥ずかしい」
と孔子の言葉を引用して話すことがありますが、
そんな正論は子どもを傷付けるだけです。
それがたとえ正論であったとしても、
生徒が傷つき意欲を失ってしまうのでは教育現場の、
「有害」
と言わざるを得ません。
そして、どちらの場合でも必要なことは、生徒に対する認知です。
正解だった時は、
「その通り」「正解」「すばらしい」…
言葉は何でもいいのですが、
教師としての認知を表すことが必須です。
その一言で生徒は満足感や自己肯定感を持ちます。
中には何のリアクションもせずに講義を続ける教師がいます。
それどころか、
「こんなことは分かって当たり前だ。
いい気になって喜んでいるんじゃない」
と生徒を腐らせる発言をする教師すら存在します。
もし不正解だった時でも、
「惜しい」「いいところまで来ている」「あと一歩」
と,
共鳴を表す言葉を発してあげて下さい。
以前、某大手塾の全体会議を見学したことがあります。
塾長の質問に、若手社員も積極的に挙手します。
中には、
「トンチンカンな回答」
をする社員もいたのですが、塾長はけっしてそれを否定しません。
「何を的外れなことを言っている」
と非難することもありません。
「なるほど、若い奴らはそんな発想をするんだ。
いやあ、参考になるなあ」
と認知します。
その度量の大きさゆえに、若手社員も積極的に発言できる雰囲気を作り出しているのでしょう。
集団授業において、生徒とのキャッチボールは絶対に必要なことです。
しかし、生徒が投げたボールに難癖をつけていると、
生徒はキャッチボールそのものを嫌うようになります。
それでは上達しませんよね。
教師の役割は投球を評価することではなく、投球を何度も促し上達させることにあるのです。
授業中の質問という些細な要素の中にも、生徒のやる気を向上させるために,
十分な配慮が必要なのです。
塾生獲得実践会(全国学習塾援護会)
森 智勝