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森 智勝(もり ともかつ) <プロフィール> 全国学習塾援護会 主宰、塾生獲得実践会 代表 ・26歳で学習塾設立、7教室を経営する。 ・平成14年 塾専門のマーケティング勉強会「塾生獲得実践会」設立 ・平成18年 「全国学習塾援護会」設立 ・現在、全国各地で塾経営者を対象としたセミナーの講演、スタッフ研修に奔走。 全国私塾情報センター主催の「春季大都市縦断セミナー」「地方塾セミナー」に講師として参加。 机上の空論ではない具体的な内容と、参加者にプラスのエネルギーを生じさせる講演には定評がある。今、最も支持されている塾経営アドバイザーの一人。 |
ここまで
「子どもをやる気にさせる」
をテーマに話を進めてきましたが、最後は「保護者対策」です。
いくら塾が子どものモチベーションアップを図っても、家庭(保護者)が
子どものやる気を失わせる行動をしていたのでは焼け石に水です。
「保護者教育」
が必要です。
まず最初にしなければならないことは、共有幻想の呪縛から
保護者を解き放つことです。
多くの保護者(特に父親)が思っていることがあります。
「まあ、俺(私)の子どもだからこんなもんだろう」…
いわゆる素質(DNA)の呪縛です。
確かに、我々日本人は
ウサイン・ボルトのように100メートルを9秒台で走ることはできません。
そこには厳然とした素質の差が存在します。
それは認めた上で、
「それでも!」
という理論武装を指導者は持たなければなりません。
まず大前提として、他の分野と比較して学問(勉強)の分野は
素質の影響を最も受けにくいという事実を知らしめなければなりません。
今、
「貧困層の子どもたち」
が問題となっています。
貧困のために十分な教育が受けられず、そのことで貧困の連鎖が作られるという社会問題です。
それ自体は深刻な問題なのですが、裏返してみると
「十分な学習環境さえ与えれば、子どもは学力を蓄積することができる」
という査証です。
以前、
「東大生の家庭の平均年収は1000万円以上」
というデータが話題を呼んだことがありますが、
もし素質で学力の全てが決まるのであれば、こんな現象は生じないはずです。
つまり、子どもの学力は素質云々よりも学習環境に大きく影響されるのです。
「俺の子どもだから…」
と親が諦めた瞬間、子どもの学習意欲も止まります。
トンビは平気でタカを生むのです。
ご両親は成績不振の我が子を慰めるために、そのようなセリフを言うのかもしれませんが、
それは絶対に禁句にしてもらわなければなりません。
次に必要なのは
「それでも勉強することの意味」
をちゃんと保護者に理解してもらうことです。
もし保護者が
「一所懸命に勉強しても成績(学力)が上がらないのなら無駄だ」
と思っているとしたら、それは間違いです。
勉強は成績を上げるためだけに行うものではありません。
子どもたちは勉強という行為を通して「忍耐力」「創造力」「発想力」「思考力」…
いわゆる人間力を蓄積します。
もし、成績を上げるためだけに勉強するのであれば、
満点を取る子どもはそれ以上勉強する必要がなくなってしまいます。
私は
「どうせ勉強しても50点しか取れないのだから」
と勉強を放棄することも、
「どうせ勉強しなくても100点を取れるのだから」
と勉強を放棄するのも認めません。
両者は
「勉強を放棄する」
という点で共通しています。
共に、人として成長することを放棄しているのです。
子どもがどちらの位置に立っていようが、
保護者は子どもの更なる成長を促し、応援する存在であってほしいものです。
そして、
「成長」
の過程をちゃんと保護者に理解してもらうことも重要です。
人の成長は努力と比例しません。
例えば、毎日100mを10本走ったからといって、
毎日記録が0.01秒ずつ伸びることはないということです。
伸びない、伸びないという苦悩の毎日を過ごした或る日、突然、記録は伸びるのです。
この瞬間をブレイク・ポイントと言います。
ブレイク・ポイントは努力を続ける者全てに訪れるのですが、
残念なことに、いつ訪れるかは誰にも分かりません。
そして、一度ブレイク・ポイントを迎えると、次のブレイク・ポイントまで踊り場が生じます。
つまり、人の成長は一次関数ではなく三次関数的に移行するのです。
塾に入ってグンと成績が伸びた生徒が、その後、伸び悩むのはある意味当然です。
前記の踊り場に到達したのです。
その時、ただ成績が伸びないからといって
「最近、勉強をサボっているんじゃないの?」
と保護者から言われたとしたら…
頑張っている子どものやる気は一瞬でしぼんでしまうことでしょう。
そうなる前に、学習指導のプロとして保護者に対する
啓蒙活動(教育)をしておくことが必要です。
続きは次回。
塾生獲得実践会(全国学習塾援護会)
森 智勝