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2008年 6月 18日
<プロフィール> 青山学院大学法学部卒。日本全国授業ライヴ (GTP) 主宰。学部在学中に東京・神奈川にて大手予備校勤務。大学院在籍中に名古屋にて起業。現在は日本全国授業ライヴと称して学問の楽しさを伝道するため全国を行脚中。北は北海道札幌から南は九州沖縄石垣島まで講演、授業ライヴ、そして執筆の日々。 そして、主婦10万人のサイト「キャリアマム」にて教育相談、教育エッセイ連載、毎日中学生新聞(毎日新聞社)で「やさしい読解力」連載、同じく「悩みの宝石箱」の相談員をつとめるなど執筆活動以外にも様々なメディアで活動。 |
はじめまして、後藤武士です。一介の教育評論家です。)強制力と権威をはじめから与えられている学校と異なり、子供たちにそして親御さんたちに選ばれ納得されなければならないのが塾。
そんな塾の現場で経営に教務に日々頭と心を悩まされ、それでも子供たちのためにこの国の将来のために悪戦苦闘されている塾長のみなさん、講師の皆さんに少しでもお役に立てたらとこの連載を引き受けさせていただきました。やらせていただくからには全力で臨みます。惜しむことなく私が手にし開発した一切のノウハウを披露したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
知識の習得までの手順は皆様既にご存知のことでしょう、導入(授業)→実践(問題演習)→確認(答え合わせ)→反省分析(間違いのチェック)→弱点補強(間違えたところに再度挑戦)といった循環がそれです。このうち子供たちもそして指導をする講師の側もおろそかにしてしまいがちなのが、反省分析以降の手順です。一斉などはその授業の性質からまさに導入にウエイトが置かれますし、個別であっても答え合わせで一喜一憂、ほめるところはほめ、叱るべきところは叱るあたりはさすがに個別の先生方は上手におぴゃりになるのですが、そのあとまではなかなか手が回らないようです。
しかしそれは非常にもったいないお話です。どんなにみなさんがよい指導をなさっても、そのあとのフォローに手が回らなければ子供たちの中から知識はザルの目をかいくぐるように零れ落ちていってしまいます。どんなに○がうれしくても、×を○にしない限り点数は伸びることはありません。小テストなんて確認作業に過ぎません。何の確認かと言えば出来ない箇所の確認に他なりません。せっかくどこが出来ないかを確認してもそこを克服しない限り何の意味もありません。分析はデータの取得に過ぎません。どこで得たデータを如何に使うかが大切なのです。
そこで私は学習日記をつけさせることをお勧めしています。もちろん一行コメントとか、その日の履修事項のメモなどは既に実践されている塾さんが多いことでしょう。それはそれで素晴らしいことです。しかしここで提案させていただくのはさらに一歩先を行くものなのです。やり方は簡単です。授業もしくは学習の終了時にB5またはA4の紙切れを子供に手渡します。そしてそこに日付とその日に学んだこと、わからなかったこと、反省事項、出来なかった問題などを書かせるのです。たったこれだけです。問題も出しません。ヒントも不要です。ただただその日の授業を思い出させ、なんでもいいから、箇条書きでもイラストでも図式でもどんな方法でもよいから書かせるのです。
これだけのことで子供たちの成績は格段に変わります。まずこれを書かなければいけないので子供たちは授業中から受身でなくなります。ネタを探しながら指導を受けるようになるのです。また自分でどこがわかってどこがわからないのか意識し始めるようになります。さらに授業終了後に頭の中でもう一度整理させ、それを紙に書かせることで客観化させることにより、定着の度合いが深まります。
これだけでも十分なのですが、さらにおまけがあります。これは子供たちというより教える側の私たちへのメリットです。まずこの学習日記を保存しておけば面談時に大いに役に立ちます。わざわざ個別に講師が記録をとらなくてもそのままこれを使えば習得状況が一目瞭然なのです。また気が弱かったり、プライドが高い子供の弱点を発見することも出来ます。さらに翌年以降まで保存しておけば(プライバシー保護法への配慮は必要ですが)あなた自身、あるいは講師各位の指導ノウハウがデータ化できるのです。私も含め塾の先生というのは概して目先の生徒を救うことに一生懸命で、なかなか記録を残すということまで手が回らないものです。しかしこういう形で記録を残していけばそれ自体がとんでもない財産になります。
いかがでしょう、学習日記、「これはいい」と感じていただけたなら、早速導入なさってください。学習日記にはパンチで穴を開け生徒別に用意したファイルにファイリングしておくとよいでしょう。閉じるのが面倒ならば各生徒ごとに一冊ノートを与え、そのままそこに書かせるようにするのも手です。手間も少なく資本もかからず効果は絶大、ぜひやってみてください。