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森 智勝(もり ともかつ) <プロフィール> 全国学習塾援護会 主宰、塾生獲得実践会 代表 ・26歳で学習塾設立、7教室を経営する。 ・平成14年 塾専門のマーケティング勉強会「塾生獲得実践会」設立 ・平成18年 「全国学習塾援護会」設立 ・現在、全国各地で塾経営者を対象としたセミナーの講演、スタッフ研修に奔走。 全国私塾情報センター主催の「春季大都市縦断セミナー」「地方塾セミナー」に講師として参加。 机上の空論ではない具体的な内容と、参加者にプラスのエネルギーを生じさせる講演には定評がある。今、最も支持されている塾経営アドバイザーの一人。 |
先月号でコミュニケーション能力の重要さを指摘しました。
塾がコミュニケーションしなければならない相手は3つ。
生徒・保護者・地域です。
それぞれについて順に解説します。
まず、生徒とのコミュニケーションについてお話します。
某大手塾が、
「退塾理由」
について専門機関に調査を依頼したところ、
「成績が上がらない」
を押さえて、
「教師が信頼できない」
がトップでした。
具体的に言うと、
「教師が約束を守らない」
と言うのです。
どういうことでしょうか。
例えば、
「次の授業で○○のプリントを用意するね」
と言っておきながら忘れる。
「そのうち、ボーリング大会を開催するから」
と言って実施しない。
何気ない雑談の中で,
「今度、家族の写真を持ってくる」
と約束しながら無しのつぶて…
1つ1つは取るに足らないことばかりです。
ところが、それが積み重なって、
「信頼」
という大事なものを失っていきます。
中には、授業を始めようとした時に生徒から
「先生、宿題の答え合わせは?」
と指摘されて、やっと宿題を出していたことを思い出す教師もいます。
こうしたことが、信頼を失うことにつながります。
こんな例もあります。
入塾生が最初の授業に緊張してやってきます。
ところが連絡ミスで現場の教師には伝わっていません。
所在無くポツンと立っているその生徒に向けて、
「誰だ、お前?」
と言ってしまう…。
生徒は約束通りの日に通塾してきました。
ところが塾側が約束を忘れているのです。
この生徒も、その話を聞いた保護者も思います。
「軽んじられている」
と。言ったことは守る、守れないことは言わない。
これが生徒に対するコミュニケーションの基本です。
次に重要なことは、全ての生徒と1日1回は「会話」をすることです。
塾に来て、一度も教師と会話せずに帰る生徒は塾に対して疎外感を持ちます。
自分の居場所と感じられません。
これでは塾に対するロイヤリティが下がる一方です。
生徒が登塾したとき、明るい声で挨拶を交わしてください。
その時単に、
「こんにちは!」
と発声するのではなく、冒頭に生徒の名前を付けることをお勧めします。
人が言われて嬉しい言葉のトップは、ダントツ、
「ありがとう」
です。
2番目は「自分の名前」です。
何人もが同時に登塾してきたとき、
まとめて、
「こんにちは!」
と声を掛けることが多いと思うのですが、
それでは生徒がone of them と感じてしまいます。
「高橋君、こんにちは!」
と言えば、それは、
「高橋君に向けた挨拶」
になり、高橋君自身も、
「自分に対して声掛けしてくれた」
という意識を持つことができます。
とっさに、全ての生徒の名前が出るように訓練することです。
授業の最中も同じです。
生徒に参加意識を持たせるために、一度は発言の機会を作ることです。
やはり、受講生の名前を呼びながら。
塾に来て、一度も教師と会話せずに帰って行く生徒を、
1人も出さないようにしましょう。
同様に、
「ありがとう」
を口癖にすると、コミュニケーションはスムースになります。
例えば授業の冒頭、
「こんな雨の日に頑張って塾に来てくれてありがとう」
「毎週、休まずに私の授業を受けに来てくれてありがとう」
「今回のテストで良い点を取ってくれてありがとう」…
「ありがとう」
を発するきっかけは何でもいいのです。
感謝の気持ちが伝われば、相手(生徒)との意思の疎通が進みます。
「面倒見の良さ」
を感じさせるためには、
コミュニケーション能力の向上は不可欠です。
そんなに難しく考える必要はありません。
「ありがとう」
と、
「生徒の名前」
を言葉にするだけで、
生徒が持つ塾に対する印象は格段に変わります。
ぜひ、実践してみてください。
塾生獲得実践会(全国学習塾援護会)
森 智勝