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森智勝先生の「地域1番塾への道」vol.16

森 智勝(もり ともかつ) <プロフィール>
全国学習塾援護会 主宰、塾生獲得実践会 代表
・26歳で学習塾設立、7教室を経営する。
・平成14年 塾専門のマーケティング勉強会「塾生獲得実践会」設立
・平成18年 「全国学習塾援護会」設立
・現在、全国各地で塾経営者を対象としたセミナーの講演、スタッフ研修に奔走。
全国私塾情報センター主催の「春季大都市縦断セミナー」「地方塾セミナー」に講師として参加。
机上の空論ではない具体的な内容と、参加者にプラスのエネルギーを生じさせる講演には定評がある。今、最も支持されている塾経営アドバイザーの一人。

2014.1月号‐面倒見の良さで地域№1になるために15‐

電話によるコミュニケーションで最も多いシチュエーションは、
問い合わせの電話が入った時です。
私も仕事柄、多くの塾に電話をするのですが、
最初の言葉(第一声)を疎かにしている塾があります。
とてつもない早口で聞き取れない塾、あからさまに不機嫌な?声を出す塾…
これは印象が悪い。
前回も言いましたが、電話は相手の姿が見えません。
最初の印象で悪いイメージを与えるのは避けたいものです。
第一声は明るく、ゆっくりと、

 

「はい、○○塾です」

 

と答えましょう。
次に問題になるのが保留時間です。
問い合わせの意向を確認した後、


「塾長(教室長)に変わりますので、しばらくお待ちください」


と言って保留音が流れます。
ところが、なかなか出ない。
あなたも覚えがあると思いますが、電話を待たされるのは苦痛です。
データによると、20秒を超えると人のストレス(いらいら感)は急上昇します。
長く待たされたあげく、


「お電話変わりました。どういったご用件でしょうか?」


などと対応されると、ほとんどの保護者は電話を切りたくなります。


さて、以下のやりとりは、私が実際に体験した内容です。
息子が中3の夏、某大手塾の夏期講習を受けさそうと電話を掛けました。
受付担当らしい女性が対応してくれました。


森「すみません。息子を夏期講習に参加させたいのですが」
塾「では、息子さんの名前と住所、電話番号をお願いします」
森「名前は○○、電話は…、住所は…」
塾「ところで、○○君の成績はいかがですか?」
森「中2の3学期、内申点計が19でした」
塾「…申し訳ないのですが、その成績だと当塾の入塾基準に…」
森「あっ、夏期講習にも入塾基準があるのですか?」
塾「はい…申し訳ありません」
森「いえ、それなら仕方がありませんね」

 

この担当者はマニュアル通りの対応をしただけです。
当時は私も塾経営者でしたから、そのあたりの事情は分かります。
塾としては具体的な個人情報を早く入手したいというのは当然です。
しかし…担当者は我が家の電話番号を知っていますから、
いたずら電話を掛けようと思えば掛けられます。
住所も知っていますから放火に来ることもできます。
そうした状況にしておいて…

 

お前の息子はバカだから入塾させない」


と言ったのです。
どんなに丁寧な物言いをしたとしても、保護者の耳にはそう意訳されて聞こえます。
この塾は、無意識のうちに相手に、

「恨み」

を抱かせているのです。
もし、入塾基準を設定しているのなら、個人情報を聞き出す前に伝えるべきです。
そうであれば、相手に恥をかかせることもなく、恨みを買うこともありません。


後日談ですが、後年(今の仕事を始めてから)某塾の社長と会食する機会があり、
上記の件をお話しました。
さすがは大手塾です。
あっと言う間に電話対応マニュアルの見直しがなされました。
見事です。
さて、塾に問い合わせの電話を掛ける保護者の気持ちになってください。
塾を探しているということは、子どもの勉強に対して何らかの悩みを持っているのです。
自分では解決できないのでプロである塾の力を借りようとしている。
しかし、電話の向こうの見ず知らずの他人に、そうした悩みを打ち明けるのは勇気がいります。
ましてや、具体的な個人情報を伝えるのは…。
あなたも覚えがあるはずです。
個人情報を尋ねた瞬間、


「いえ、まだ入塾を決めたわけでもないですし、息子に相談もしていませんので…」


と拒否されて、互いに気まずい雰囲気になったことが…。
繰り返しますが、コミュニケーションの定義は、

「意思を伝えて、相手を動かすこと」

です。
ここで言う、

「相手を動かす」

とは、

「塾を信頼してもらって面談に来てもらうこと」

です。
ならば、その目的に適うコミュニケーション方法を採るべきでしょう。
例を挙げると次のようなパターンです。
時間割や授業料等、聞かれたことに答えた後…

 

塾「ところで、こうして塾をお探しということは、
何かお子さんの勉強でお困りのことがあるのでしょうね。
私でよろしければ、このお電話でご相談に乗りますよ」

 

母「ええ、今も塾には通っているのですが、何だか成績が下がる一方で…」

 

塾「それはご心配ですね。お家では時間を決めた家庭学習はされていますか?」

 

母「いえ、家では宿題程度しかしていないみたいです」

 

塾「ある程度の家庭学習時間を確保しなければ、
たとえ塾を変わっても成績向上は難しいですよね。
もしよろしければ、息子さんと一緒に来塾していただけませんか。
私から直接、家庭学習の重要さと方法について息子さんにアドバイスしますよ」

 

随分と簡素化して紹介しましたが、ある程度のやりとりをして、

「この塾(人)は頼りになるかもしれない」

という期待感を持たせないと次の行動を促すことはできません。
その上で、生徒名と連絡先を尋ねるという順番です。
こうした方法の方がはるかに個人情報は入手しやすいですし、来塾率も高くなります。

 

ちなみに質問の第一声は、話の流れで工夫をしてください。
部活のことを聞いてもいいですし、現在通っている塾の話題からでも構いません。
要は、きっかけ作りをして会話を弾ませ、信頼関係を築くことが重要です。

 

さて、年内最後のメール・セミナーでした。
多分、年明けにお読みのことと思います。2014年があなたにとって、
最良の年になりますことを心からお祈り申し上げます。

 

塾生獲得実践会(全国学習塾援護会)
森 智勝

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