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森智勝先生の「地域1番塾への道」vol.19

森 智勝(もり ともかつ) <プロフィール>
全国学習塾援護会 主宰、塾生獲得実践会 代表
・26歳で学習塾設立、7教室を経営する。
・平成14年 塾専門のマーケティング勉強会「塾生獲得実践会」設立
・平成18年 「全国学習塾援護会」設立
・現在、全国各地で塾経営者を対象としたセミナーの講演、スタッフ研修に奔走。
全国私塾情報センター主催の「春季大都市縦断セミナー」「地方塾セミナー」に講師として参加。
机上の空論ではない具体的な内容と、参加者にプラスのエネルギーを生じさせる講演には定評がある。今、最も支持されている塾経営アドバイザーの一人。

2014.4月号‐面倒見の良さで地域№1になるために18‐

先月号まで、


「面倒見の良さ(評判)は授業外にある」


というお話をしてきました。
これは、ニーズで成り立つビジネスにおける原則です。
例えば歯医者を連想してください。
我々素人は、医師の技量について評価する能力を持っていません。

「とにかく無痛で早く治してくれる医者」

を評価する傾向があります。
結果、本来は避けたい麻酔を多用する医者が支持されたりします。
素人がプロの技術力を正確に判断するのは難しいものです。
そのため歯医者の評判は、

「やさしい先生」「説明が上手」「雰囲気が明るい」「受付嬢が美人?」

等々の周辺部分で構成されることになります。

 

あるコンサルタントA氏が告白していたのですが、
彼が10年間利用していた歯科医院の医者は、
自分のパーソナル携帯の番号を教え、


「歯が痛んだらいつでも連絡してください」


と患者に伝えているそうです。
彼は10年間、その医者を名医だと信じていました。
その思いが揺らいだのは、出張先で歯が痛み、
飛び込みで地方の歯科医院を利用した時のことです。
応急処置だけでもしてもらおうと思っていたのに、
その日のうちに根本治療まで済ませてくれたというのです。
鮮やかに、手際よく…。
それ以来、掛かりつけの「名医」に対する疑問が消せないと彼は言います。

 

同じ宿命を塾も抱えています。
素人である生徒・保護者に、商品力を正確に測る技量はないのです。

 

すると、必然的に力量判断を数値で測れるものに頼ることになります。
つまり、トップ校合格者数です。

「○○高校何人合格」

を見て、

 

「あの塾は良い塾だ」


評価することになります。
中には、

「授業料」

という数値を判断材料にする保護者もいることでしょう。

 

私は、


「だから授業など、どうでもよい」


と言っているのではありません。


「授業さえきちんとしていれば大丈夫だ」


という考え方を(ビジネス上)危険だと伝えたいのです。
授業以外にも力を入れないと、
数値で測れる合格者数や授業料だけで塾選択されてしまう恐れがあるのです。
もちろん、その分野で近隣他塾を圧倒しているのなら問題はありません。
ただ、一般的に中小・個人塾の場合、合格実績で大手塾に勝つことは至難です。それゆえ、周辺部分にも力を入れ、

「面倒見の良い塾」

という評判を作っていくことが重要なのです。

 

さて、ここからはちょっと耳の痛い話をします。
思い当たる方だけお聞きいただければいいのですが…。

 

あなたの塾の授業は、本当に大手塾の若手教師が行う授業を凌駕していますか?

 

仕事柄、多くの中小・個人塾を訪ね、多くの経営者と話をしてきました。

 

「入社2年目、3年目の若い教師には負けません。経験が違います」


と豪語する経営者もいます。
ところが全く授業準備もせず、行き当たりばったりで現場に臨み、
(よく言えば)臨機応変に授業をこなしている教師が少なからず存在します。
るいは個別指導塾の場合、教材だけをアルバイト講師に渡し、

 

「あとはヨロシク」


と丸投げしているところもあります。
繰り返しますが、授業力(商品力)は必要条件です。
その商品力のクオリティが低ければ、
周辺部分をいかに華美に飾っても効果はありません。


確かに、良い評判は主に授業外で作られますが、
悪い評判は確実に授業内で作られるのです。


「説明が分かりにくい」

「特定の生徒をえこひいきする」

「つまらない」

「すぐ感情的に怒る」

「約束を守らない」…

そうした悪評の種は、常に授業内に潜んでいます。
そして、それは塾というビジネスにとって致命的です。
レストランの食事が不味いというのと同じです。


ビジネスにとってコアの部分(商品力)と
周辺部分(マーケティング)は車の両輪です。
どちらが欠けても車は前に進みません。
常に商品力をUPさせる努力を重ねてください。
その上で周辺部分にも力を注ぎ、
面倒見の良い塾という評判を作っていくのです。


ある塾は月に一度、その月の行事・祭事にちなんだ、
プチ・プレゼントを配っています。
例えば3月3日には、

「雛あられ」

を配りました。
2月には節分の日に豆を配りました。
迎えに来た保護者にも配ります。
すると、


「塾の先生も大変ですね」


と声を掛けられ、

後日、


「祖父母が喜んでいました」


と報告してくれた保護者もいます。
お祖父ちゃん、お祖母ちゃんが、

「あられ」

や、

「豆」

をもらって喜んだのではありません。

「孫が面倒見の良い塾に通っていること」

を喜んでいるのです。


思いは形にして表さないと伝わらない。


たかが、

「あられ」

たかが、

「豆」

です。
しかし、生徒を大切に思っているならば、
それを何らかの形にして表さなければ相手には伝わりません。
わずか十円程度のプチ・プレゼントですが、
相手(生徒・保護者)はそこに、塾の思いを感じ取っているのです。
評判という目に見えないものは、
十円の、

「あられ」

という目に見える、

「形」

を媒介して伝わっていくのです。

 

塾生獲得実践会(全国学習塾援護会)
森 智勝

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