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森 智勝(もり ともかつ) <プロフィール> 全国学習塾援護会 主宰、塾生獲得実践会 代表 ・26歳で学習塾設立、7教室を経営する。 ・平成14年 塾専門のマーケティング勉強会「塾生獲得実践会」設立 ・平成18年 「全国学習塾援護会」設立 ・現在、全国各地で塾経営者を対象としたセミナーの講演、スタッフ研修に奔走。 全国私塾情報センター主催の「春季大都市縦断セミナー」「地方塾セミナー」に講師として参加。 机上の空論ではない具体的な内容と、参加者にプラスのエネルギーを生じさせる講演には定評がある。今、最も支持されている塾経営アドバイザーの一人。 |
生徒をやる気にさせる方程式はありません。
「どんな子どもでもこうすればやる気になる」
という方法があれば、こんな楽なことはありません。
だからこそ、そこに塾人としての、
「やりがい」
がありますし、差別化のネタも潜んでいます。
さて、集団指導のモチベーションの上げ方についての話を続けます。
授業の最初、あなたはどんな導入をしていますでしょうか。
「さあ始めるぞ!今日はどこからだっけ…」
まさか、こんな始め方はしていないでしょうが、
いきなり授業に入るのは考えものです。
なぜなら、生徒の準備ができていないからです。
授業の最初、ほんの2~3分でいいので、
生徒の興味を惹く話をすることを、
「フック」
言います。
そのことで生徒の「聞く耳」を作ります。
まず正面(教師)を向いて集中させることです。
生徒たちがその姿勢を作ってから授業を開始することで、
授業効率は飛躍的に高くなります。
こうした工夫も、生徒の学習意欲(モチベーション)を、
ほんの少し高めることに役立ちます。
フックは1つの例です。
要は、その日の授業のシナリオ(予定表)を作ることです。
例えば60分の英語の授業だとして、
「フック-3分」
「不定詞・形容詞的用法の講義-10分」
「演習・ワーク32P問題⑤-5分」
「答え合わせ・解説-5分」…
こうしたシナリオができているのかどうかが問われています。
もちろん、1回の授業のシナリオ(予定表)を作るためには、
1年間のシナリオができていなければなりません。
塾教師にすれば、当たり前のようで大変な作業です。
特にベテランの教師にすれば、
「臨機応変」「手練手管」
が大きな武器だったりします。
「そんなシナリオなんかなくても、何の支障もなく授業はやれる」…
その通りだと思います。
ただ…
以前、ミラー現象についてお話しました。
「あなたが相手を好きだから、相手もあなたを好きになる法則」
です。
その法則から言えば、(理由はどうあれ)あなたが適当に授業をしていると、
生徒も適当に授業を受けるようになります。
いえ、あなたは一所懸命に授業をしていると思います。
しかし、あなたの「一所懸命さ」が伝わらなければ、
生徒は一所懸命にならないのです。
シナリオを作るということは、
塾教師にとって辛くつまらない作業かもしれません。
しかしそれを徹底することで、少しでも良い授業を作ろうと努力することで、
それが生徒に伝わり、生徒の学習意欲を引き出すことにつながります。
生徒に辛くつまらないであろう学習を強いるのですから、
教師側もその作業をすべきなのです。
そうした教師と生徒の相互作用が働く教場を作ることが、
塾現場には必要です。
生徒のモチベーションを高めるためには、
教師が高いモチベーションを維持することです。
シナリオ作りはその試金石だと考えています。
考えてみれば、塾教師が授業を最も大切にし、
最もエネルギーを注ぐのは当然のことです。
日々の継続的努力が、
生徒の日々のモチベーションを上げる最大の方法であり、
授業はその全てです。
少なくとも生徒にとっては。
生徒のやる気を引き出すためには、教師がやる気を出すこと。
その、
「やる気」
は第一に授業に向けられなければなりません。
シナリオ作りはそれを体現する第一歩です。
塾生獲得実践会(全国学習塾援護会)
森 智勝