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森 智勝(もり ともかつ) <プロフィール> 全国学習塾援護会 主宰、塾生獲得実践会 代表 ・26歳で学習塾設立、7教室を経営する。 ・平成14年 塾専門のマーケティング勉強会「塾生獲得実践会」設立 ・平成18年 「全国学習塾援護会」設立 ・現在、全国各地で塾経営者を対象としたセミナーの講演、スタッフ研修に奔走。 全国私塾情報センター主催の「春季大都市縦断セミナー」「地方塾セミナー」に講師として参加。 机上の空論ではない具体的な内容と、参加者にプラスのエネルギーを生じさせる講演には定評がある。今、最も支持されている塾経営アドバイザーの一人。 |
成績を上げる塾を考えるにあたり、
「集団指導」「個別指導」「自立学習指導」
の3つのカテゴリーに分けます。
このコラムを読まれている塾は、個別指導・自立学習指導の塾が多いと思いますが、
「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」です。
他の指導形態を研究することは、自塾の指導法を見直すために有益です。
ぜひ、お付き合いください。最初は「集団指導塾」について論じます。
「集団指導によって成績を上げる方法」
を考えるためには、集団指導とは何か、その特性は? 弱点は? と考えなければなりません。
言うまでもなく集団指導とは、
複数の生徒に対して同じ授業(指導)を与えることです。
クオリティの高い授業を複数の生徒に同時に提供できることが最も大きな特長です。
個別指導の場合、たとえ講師の指導力が優れていても、
その指導を受けることができる生徒数は限られています。
講師:生徒=1:2の平均的な個別指導塾の場合、一度に受講できるのは二人。
1日3回転しても6人。週5日勤務で30人。これが限度です。
ところが集団指導ならば、1クラス30人、1日2回転で60人、週5日勤務で300人。
実に10倍の生徒を指導することが可能です。
優れた教師を抱えているならば、私は文句なく集団指導をお勧めします。
利益率がケタ違いだからです。
例えば個別指導の場合、週2回の指導で3万円程度の授業料です。
上記の場合(1人2コマ平均)の総売り上げは45万円です。
それに対して集団指導の場合、週2回で2万円の授業料と想定すれば上記の場合、
300万円の売り上げになります。
どちらを選択する方が得か、自明です。
ただ問題は、それだけの集客ができる集団指導塾が少ないということです。
個人塾の場合、
「中3は20名程度在籍しているが、中1・2は10名前後、小学生に至っては1人の学年もある」
という塾が少なくありません。
集団指導なのに教師とマンツーマン、それで授業料が数千円では赤字です。
つまり、集団指導塾の場合、いかに優れた教師を確保(養成)するかが重要なのです。
ところが、そうした指導力のクオリティを高める作業をしている塾が本当に少ない。
新人の教師に、簡単なレクチャーと教材を与えるだけで、
「まぁ、習うより慣れろだから」
と授業を丸投げしている塾が多い。これでは生徒が集まるはずがありません。
何度も言っているように、ビジネスは商品力とマーケティングの両輪で動きます。
肝心の商品力が劣っていたのでは、何をやっても空振りするだけです。
優秀な教師ならば、30人を指導すれば30人が良い評判を広げてくれます。
劣悪な教師ならば、
30人を指導すれば30人が悪評を広げます(もちろん、退塾という行為をしながら)。
そうした意味で、集団指導は諸刃の剣なのです。全ては教師とその指導力に掛かっています。
教師の質とは別に、集団指導塾が抱えている構造的な弱点を考えてみましょう。
弱点がなければ、これほど個別指導塾が隆盛を極めるはずがありません。
一言で言って、集団指導塾の弱点は
「個別対応ができないこと」にあります。
複数の生徒を同時指導するのですから、1人ひとりの学力や弱点に対応することができません。
授業を生徒の習熟度別に変えることもできなければ、宿題を個別に出すこともできません。
それが
「我が子だけを特別に見てほしい」
という保護者の離脱(客離れ)を生み、近年の個別指導塾の隆盛を生みました。
そうした事態を招いたとき、集団指導塾は2つの選択を迫られました。
1つは
「より高度な指導力を構築する道」であり、
もう一つは
「集団指導でありながら、個別対応にも応じる道」です。
そして、中小・個人塾は後者の道を選択したところが多かったようです。
いわゆる
「少人数制集団指導」です。
ところが、(後で詳しく論じますが)
後者を選択した塾で成功しているところは少ないようです。
チラシに
「1人ひとりを面倒見よく指導するため、1クラス10名前後の少人数制」
と謳う塾がありますが、その多くは、
「ただ単に10名以上の集客ができない塾」が実態です。
そのため、定員を少なくしても授業料を上げることができず、
収益を圧迫するだけに終わっています。
いくら少人数制を敷いても、個別指導塾には面倒見の良さでは敵いません。
本当に面倒見の良さで勝負するならば個別指導塾に転換すべきですし、
集団指導で勝負するならば、集団指導の良さ(利点)を磨き上げる道を選択すべきです。
それについては、次回で詳しく論じます。
塾生獲得実践会(全国学習塾援護会)
森 智勝