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森 智勝(もり ともかつ) <プロフィール>
全国学習塾援護会 主宰、塾生獲得実践会 代表 ・26歳で学習塾設立、7教室を経営する。 ・平成14年 塾専門のマーケティング勉強会「塾生獲得実践会」設立 ・平成18年 「全国学習塾援護会」設立 ・現在、全国各地で塾経営者を対象としたセミナーの講演、スタッフ研修に奔走。 全国私塾情報センター主催の「春季大都市縦断セミナー」「地方塾セミナー」に講師として参加。 机上の空論ではない具体的な内容と、参加者にプラスのエネルギーを生じさせる講演には定評がある。今、最も支持されている塾経営アドバイザーの一人。 |
退塾防止は塾経営にとって死活問題です。どれだけ新規生を獲得しても、退塾生が多ければ「穴の開いたバケツに水を入れる状態」です。
以前、開校2年目の某FC塾に相談されたことがあります。「新規生は集まるのですが、休会生が多くて生徒数が増えません」と。その塾では「退塾生(退会生)」のことを休会生と呼んでいました。その知名度と大量のチラシ配布作戦が功を奏し、新規生は次々とやってくるのですが、退塾生も後を絶ちません。1年間で40人以上が退塾していました。これでは生徒増を見込むことはできません。
そして、退塾を防止しなければならない、もっと深刻な理由があります。それは塾の評判に関わることです。我々は口コミと評判を同意で使うことがありますが、全くの別物です。口コミは何でもいいので塾のことを話題にしてもらうことです。そして評判とは文字通り、塾の評価を話してもらうことです。そしてこの評判は、大抵において「塾生でなくなった生徒&保護者」が作ります。良い評判は円満に卒塾した生徒&保護者が作ってくれます。「うちの子が行っていた〇〇塾、先生も熱心で良かったよ」というように。
それに対して悪い評判は途中退塾者&保護者が作ります。中には頻繁な遅刻・欠席・授業妨害等、生徒自らの行為が原因で退塾になることもあるでしょう。それでも、そうした生徒は塾の悪評を広めます。「あんな塾、通っている奴の気が知れない」くらいは言うかもしれません。少なくとも、好意的な評判を作ることは絶対にありません。(ちなみにこれは、「体験授業だけ受講して入塾しなかった生徒」「季節講習だけ受講して入塾しなかった生徒」も同様です)
私は、入塾を許可した生徒は絶対に辞めさせないと覚悟すべきだと考えています。そして、自塾には合わない、手に負えないと判断した生徒は、最初から入塾させないことをお勧めします。
さて、一般的な顧客離れの原因は3つだと言われています。「卒業」「忘れる」「飽きる」です。
卒業は文字通り、塾経営には避けられない要因です。塾だけではなく、病院や弁護士等にも当てはまります。病気やケガが治癒すれば卒業ですし、紛争案件が終了しても卒業です。禁煙をした人がタバコを買わなくなるのも卒業でしょう。ニーズで成り立っているビジネスには全て、卒業が存在します。
ですから塾の場合、いかに在籍期間を延ばすかが重要です。特に中学部から高校部への継続は、今後の塾経営の重要課題になることでしょう。この問題については別項で説明します。
次の要因、「忘れる」ですが、これは記憶消失を意味するのではありません。利用する習慣が消え去り、意識しなくなる現象のことです。例えば毎日のように通っていた喫茶店があったとします。その店が店主の都合で2週間ほど閉店し、あなたは別の喫茶店に通います。すると、思いのほか居心地がよく、馴染みの店が再開した後も戻ることなく過ぎていき、意識をしなくなる…そんなことは枚挙に暇がありません。
塾の場合、よくある例は「数か月の休塾」です。「ピアノの発表会が近いので休塾」「サッカーの大会があるので休塾」「入院を余儀なくされたので休塾」…様々な休塾の理由はありますが、注意をしないと「予定の期間が過ぎても復塾しないこと」が起こります。塾に通わないことに慣れてしまい、次第と意識しなくなる=忘れてしまうのです。「約束していたのに」と怒るのは筋が違います。休塾中も忘れられないようにアプローチを続けなければなりません。電話・手紙・副教材の配送…今でしたらオンラインでコミュニケーションをとることも可能です。明確な理由がなく欠席が続いている生徒は特に要注意です。
大抵の場合、生徒が塾を忘れるのではなく、塾が生徒を忘れるのです。ご注意を!(次回へ続く)